いま、日本では、連日シンドラー社のエレベータのトラブルが取り上げられている。
エレベーターが制御不能となり、勝手に昇降を行ってしまう、扉がしまらないまま動き出してしまう、扉が開かず閉じ込められてしまうなど、様々なトラブルが起こり、不幸にも死亡事故までおきてしまった。
表題の「急降下のカルメン」とは、車に乗っていてFMラジオから流れてきたCMに登場した。
ラジオドラマ風にショートストーリーが始まった。
深夜のマンション、酔って良い気持ちで帰って来た男が、エレベータに乗り込む。
扉が開くと、人工音声的な女性の声が丁寧な口調でエレベーター内に響く。
「ご希望の階をお押し下さい」「ドアが閉まります」など・・・
この人工音声を相手に酔った男は、からみ始めた。悪態をつき続け、小ばかにしてののしり、からかった。
そのうち、エレベーターは希望の階に止まらず、上下を繰り返しはじめ、人工音声は丁寧ではあるが、ふだんとは違う内容を話し始めた。
「止まりません」「扉は開きません」などなど・・・
酔った男は、まだまだひたすら、ののしり、悪態をついている。
そのうち、「屋上です」と最上階まで上がり、人工音声の女性は、ついに切れた。
「私だって、好きでやってんじゃないわよ、これでも昔は急降下のカルメンと呼ばれてちょっとは通ってたのよ」
エレベーターが急降下していく・・・・
あれは、かれこれ10数年前にことになる。当時は、大笑いしたラジオCMだったが、エレベータトラブルが続いている現在、まったく笑えない。
なんのCMだったのか、いつごろだったか忘れてしまったし。会話の内容も正確な記憶ではなく、雰囲気だ。しかし、あまりにインパクトが強くて、忘れられない。もう一度聞いてみたいともう何年も思っていたのだけど・・・・